【2025年改正】少額随意契約とは?基準額の引き上げや他方式との違い、実務上のポイントまで徹底解説

少額随意契約の基礎を解説。一般競争入札との比較や実務上のポイントまで。

少額随意契約(少額随契)とは、一定の基準額以下の契約について、競争入札を行わずに締結できる特例的な契約制度です。

官公庁の契約は原則として競争方式で実施されますが、小規模案件まで一律に入札手続きを行うと、時間や事務コストが過大になる場合があります。こうした課題に対応するため、一定条件のもとで認められているのが少額随意契約です。

2025年4月には基準額の見直しが行われ、制度の適用範囲は拡大しました。これにより、自治体や企業にとって実務上の影響も生じています。

本記事では、少額随意契約の定義や法的根拠、基準額の改定動向、他の入札方式との違い、メリット・デメリットまでを整理し、実務で押さえておくべきポイントをわかりやすく解説します。

目次

少額随意契約(少額随契)とは?制度の基本を解説

少額随意契約の概要(一定金額以下・競争入札なし・直接契約の流れ)

少額随意契約(少額随契)とは、契約予定価格が法令で定める基準額以下の場合に、競争入札を行わずに発注者が事業者を選定して契約できる制度です。

官公庁の契約は原則として競争方式で行われますが、小規模案件については効率化の観点から例外的に随意契約が認められています。

ここでは、その制度の仕組みと位置づけを整理します。

少額随意契約(少額随契)の定義

少額随意契約は、随意契約のひとつであり、「予定価格が基準額以下であること」を要件として認められる制度です。

通常の随意契約は、緊急性や専門性など、競争入札が適さない特別な事情がある場合に適用されます。一方、少額随意契約は、金額基準のみで適用できる点が特徴です。

つまり、少額随意契約は「金額の小ささ」に着目した特例制度と位置づけられます。

少額随意契約(少額随契)の法的根拠

少額随意契約は、地方自治体の場合、地方自治法および地方自治法施行令に基づいて認められています。地方自治法施行令第167条の2では、一定の金額を超えない契約について随意契約によることができるとされています。

国の機関においても、会計法および予算決算及び会計令により、少額案件について随意契約が可能とされています。

制度上は、「原則は競争、例外として随意契約」という構造になっている点が重要です。

少額随意契約(少額随契)はなぜ設けられているのか

少額随意契約が設けられている主な理由は、調達の効率化と行政コストの抑制です。

小規模な物品購入や軽微な業務委託について、公告や入札といった手続きを毎回実施すると、かえってコストが増大する場合があります。そこで、一定金額以下の案件に限り、簡易な手続きで契約できる制度が設けられています。

また実務上は、地域の中小企業や小規模事業者に受注機会を提供する役割も担っています。ただし、競争性や透明性を確保するため、見積取得や契約内容の公開などの運用が求められます。

少額随意契約(少額随契)の基準額と改定動向

少額随意契約は、物価不足や人手不足といった調達環境の変化への対応や、現場の負担の軽減などを目的に、2025年4月に基準額が引き上げられ、対象となる案件の範囲が拡大しました。

少額随意契約が適用されるかどうかは、「契約予定価格が基準額以下であるか」によって判断されます。
この基準額は、契約の種類や発注主体(国・地方自治体)によって異なります。

ここでは、具体的な基準額や自治体の改定動向について整理します。

少額随意契約(少額随契)の基準額【2025年改定】

2025年4月1日施行の見直しにより、少額随意契約の基準額の引き上げが行われました。主な契約種別ごとの基準額は、次のとおりです。

契約種別旧基準額新基準額
工事又は製造250万円400万円
財産の買入れ160万円300万円
物件の借入れ80万円150万円
財産の売払い50万円100万円
物件の貸付け30万円50万円
その他の契約100万円200万円

これにより、従来は競争入札の対象となっていた小規模案件の一部が、少額随意契約での発注対象となる可能性が広がりました。

なお、国と都道府県・指定都市の基準額は原則として同水準で整理されていますが、地方自治体は条例や契約規則により独自の金額を設定することが可能です。

そのため、実務上は

  • 国の基準額
  • 各自治体の契約規則

の両方を確認することが必要です。

少額随意契約(少額随契)の基準額改定の背景と目的

少額随意契約の基準額改定は、物価上昇や人手不足といった調達環境の変化に対応し、現場の負担を軽減することを目的として実施されました。
基準額の見直しは約50年ぶりとされ、長年据え置かれてきた金額水準を実態に合わせて調整する動きとなっています。

背景となった課題改定の目的
・約50年間、基準額が据え置かれていた
・物価上昇により少額案件でも基準額以上となり、競争入札が必要となっていた
・調達の複雑化や人手不足で事務負担が拡大していた
・実態に即した柔軟な契約運用を可能にする
・入札手続きの時間や労力を削減し業務効率を改善する
・調達を円滑化し公共サービスを迅速化する

実際に基準額引き上げを発表している自治体の例

2025年4月に地方自治法施行令が改正されたのに伴い、多くの自治体が少額随意契約の基準額を条例・契約規則で上限額まで引き上げています。自治体ごとの具体例を以下に示します。

福井県・敦賀市の例

契約の種類改定前改定後
工事又は製造の請負130万円以下200万円以下
その他業務委託50万円以下100万円以下
随意契約ができる限度額を引き上げます(2025年・敦賀市)

新潟県・村上市や千葉県・市川市の例

契約の種類改定前改定後
工事又は製造の請負130万円以下200万円以下
財産の買入れ80万円以下150万円以下
物件の借入れ40万円以下80万円以下
財産の売払い30万円以下50万円以下
物件の貸付け30万円以下30万円以下(変更なし)
前各号に掲げるもの以外のもの50万円以下100万円以下
少額随意契約の基準額引き上げについて(2025年・村上市)

神奈川県・三浦市の例

村上市・市川市と同様に、政令市を除く市区町村を対象とした基準額への引き上げを行うとともに、三浦市契約規則等で定めている上限額・下限額についても引き上げを行いました。

項目改訂前改定後
契約書の作成を省略することができる上限額130万円以下200万円以下
公共工事前払金を支払うことができる下限額130万円超200万円超
工事において最低制限価格を設定する下限額130万円超200万円超

自治体による基準額の違い〜地域差の実態と理由

少額随意契約の基準額は、全国一律ではありません
地方自治法施行令第167条の2では、「予定価格が自治体規則で定める額を超えない契約」について、競争入札を経ずに契約できる仕組みと定めており、各自治体が条例や契約規則で具体的な基準額を定めることが可能です。

そのため、同じ契約種別であっても、自治体ごとに基準額が異なる場合があります。

地域差が生じる主な理由

自治体ごとの基準額の違いは、主に以下の要素に影響を受けます。

  • 財政規模や年間契約件数
  • 地域の物価水準
  • 調達事務の体制(人員規模)
  • 地域事業者の状況

たとえば、契約件数が多い大規模自治体では、事務効率化の観点から基準額を引き上げる傾向があります。一方で、地域経済や財政事情を踏まえ、段階的に見直しを行う自治体もあります。

実務上の注意点

基準額は「自治体規模で自動的に決まる」ものではありません。
そのため、企業側が少額随意契約の対象かどうかを判断する際は、

  • 発注主体の契約規則
  • 最新の改正情報
  • 公表されている随意契約運用基準

を事前に必ず確認することが重要です。

少額随意契約(少額随契)と他の入札方式との違い

少額随意契約は、効率性を重視する制度である一方、他の入札方式とは適用要件や競争性の確保方法が異なります

少額随意契約は、官公庁の契約方式の一つですが、一般競争入札やオープンカウンター方式など、他にも複数の契約方式があります。

ここでは、代表的な契約方式との違いを整理します。

少額随意契約(少額随契)と一般競争入札との違い

一般競争入札と少額随意契約の違い(入札方式と直接契約の比較図)

一般競争入札は、広く公告を行い、参加資格を満たす事業者が自由に参加できる契約方式です。価格競争により、最も有利な条件を提示した事業者が落札します。

一方、少額随意契約は、基準額以下の案件に限り、発注者が特定の事業者を選定して契約できる方式です。

比較項目一般競争入札少額随意契約
公告必要原則不要
競争性高い限定的
対象案件高額契約中心基準額以下の小規模案件
契約期間2~3ヶ月程度1~2週間程度

一般競争入札は透明性・競争性を重視する方式であり、少額随意契約は効率性を重視する特例制度と位置づけられます。

一般競争入札について詳しく知りたい方は、こちらをチェックしてみてください。

少額随意契約(少額随契)と通常の随意契約との違い

そもそも随意契約は、競争入札によらず契約を締結する方式の総称です。少額随意契約は、その随意契約のひとつにあたります。

通常の随意契約は、

  • 緊急性がある場合
  • 特定の技術や専門性が必要な場合
  • 競争が成立しない場合

などの事情を要件として適用されます。

一方、少額随意契約は「金額が基準以下であること」が主な要件です。つまり、少額随意契約は“金額要件型”の随意契約といえます。

随意契約全般について詳しく知りたい方は、こちらをチェックしてみてください。

少額随意契約(少額随契)とオープンカウンター方式との違い

オープンカウンター方式は、少額案件を対象に複数の事業者から見積書を徴取し、価格比較を行って契約先を決定する方式です。

少額随意契約の一種として運用されることが多いものの、複数見積を前提とする点で、完全な単独随意契約とは異なります。

比較項目オープンカウンター少額随意契約
見積取得複数社1社の場合もある
競争性一定程度確保限定的
透明性比較的高い発注者の裁量に依存

近年は、透明性確保の観点からオープンカウンター方式を併用する自治体も増えています。

オープンカウンター方式の流れやメリット・デメリットなどについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

少額随意契約(少額随契)のメリット・デメリット

少額随意契約のメリット・デメリット(手続き簡素化と競争性の制約)

少額随意契約は、調達の効率化を目的とした制度ですが、すべての場面で万能というわけではありません。ここでは、制度の特性を踏まえたメリットとデメリットを整理します。

少額随意契約のメリット

①契約手続きが簡素で迅速に進められる

少額随意契約は、一般競争入札のような公告・入札・開札といった手続きを原則として省略できるため、契約締結までの期間を短縮できます
特に小規模工事や軽微な業務委託では、迅速な発注が可能になる点が大きな利点です。

②事務負担を軽減できる

官公庁入札手続きには多くの事務作業が伴います。少額随意契約を活用することで、見積徴取や契約書作成などの必要最低限の手続きに集中でき、調達担当者の業務負担を軽減できます

③小規模事業者や地元企業に機会が広がる

少額案件は大手企業が参入しにくい場合もあり、地域の中小企業や小規模事業者にとって受注機会が広がる可能性があります
地域経済への波及効果という観点でも、一定の意義があります。

少額随意契約のデメリット

①競争性が限定的になりやすい

少額随意契約は発注者が契約相手を選定できるため、一般競争入札と比べると競争性は限定的になります。価格や提案内容の比較機会が少ない場合、最適な条件での契約が担保されにくいという側面があります。

②価格の妥当性に疑問が生じる可能性がある

競争入札のような明確な価格競争が行われない場合、第三者から価格の妥当性について説明を求められることがあります。そのため、見積比較や積算根拠の記録など、適正性を示す対応が重要です。

③透明性確保への対応が必要

少額随意契約の適用範囲が広がると、恣意的な運用と受け取られるリスクもあります。
そのため、契約審査基準の明確化や情報公開の徹底など、透明性を担保する運用が求められます。

少額随意契約は、効率性を重視した特例制度である一方、競争性や透明性とのバランスを取ることが重要です。
制度の趣旨を理解し、適正な手続きを踏まえて活用することが、自治体・事業者双方にとって健全な調達につながります。

まとめ

少額随意契約(少額随契)とは、契約予定価格が法令や条例で定める基準額以下の場合に、競争入札を行わずに契約を締結できる特例制度です。
本来、官公庁の契約は競争方式が原則ですが、小規模案件については効率性の観点から随意契約が認められています。

2025年4月の基準額改定により、対象となる案件の範囲は拡大しました。これにより、調達手続きの簡素化や事務負担の軽減といった効果が期待される一方で、競争性や透明性をどのように確保するかが重要な論点となっています。

また、少額随意契約の基準額は全国一律ではなく、自治体ごとに条例や契約規則で定められています。実務においては、必ず発注主体の最新規則を確認することが欠かせません。

少額随意契約は、効率性を重視する制度であると同時に、適正な運用が求められる仕組みでもあります。
制度の趣旨や他の契約方式との違いを理解したうえで活用することが、適切な調達と健全な競争環境の維持につながります。

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執筆者

Gpath(ジーパス)は官公庁・地方自治体に特化した営業・マーケティング支援を行っている会社です。入札や補助金、自治体営業に関する知見を活かした専門性の高いコンテンツ制作を行っています。

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