最低制限価格制度とは?低入札価格調査制度との違いや目的を解説!

最低制限価格制度とは

公共工事の入札において、適正な価格で落札することは重要な課題です。最低制限価格制度は、一定価格を下回る入札を無効とする仕組みであり、低入札価格調査制度とは運用方法が異なります。本記事では、これらの制度の目的や違いについて、実務的な視点と具体的な事例を交えながら解説します。 この記事を読むことで、入札戦略の幅が広がり、適正な利益を確保しながら受注確率を高める方法を理解できるようになるでしょう。

目次

最低制限価格制度の基本と目的を徹底解説

最低制限価格制度とは

最低制限価格制度は、地方自治法施行令第167条の10第2項に基づく公共工事の入札ルールです。発注者が設定した価格の下限(最低制限価格)を下回る入札は自動的に失格となり、適正な品質維持を図る仕組みとなっています。

具体的には、直接工事費や現場管理費に一定の係数を乗じて算定され、自治体によって予定価格の75%~92%の範囲で設定されます。例えば1,000万円の工事では750万円~920万円が基準価格となり、これを下回る入札は無効です。 この制度は、道路整備や公共施設建設など、主に地方自治体発注の工事に適用されます。算定方法は自治体ごとに異なり、堺市では250万円超の工事、新得町では1,000万円以上の案件が対象です。

最低制限価格制度の目的〜ダンピング防止と品質確保を両立

最低制限価格制度は、公共工事におけるダンピング受注を防ぎつつ、施工品質を確保する「二重の安全装置」として機能します。自治体があらかじめ設定した価格の下限を下回る入札を自動的に失格とすることで、過度な価格競争を抑制します。

  • 不当に安い価格での受注(ダンピング)を防止すること
  • 工事品質の低下や安全対策の不備を防ぐこと

この制度が効果を発揮する主な理由は、適正な利益率の確保にあります。直接工事費の97%や一般管理費の68%など、経費項目ごとに細かく算出基準が定められており、事業者が人件費削減や資材の質低下に走る経済的圧力を軽減します。

制度がもたらす3つの効果

  • 施工品質の安定化:適正な原価計算に基づく価格設定で手抜き工事を防止
  • 下請け業者保護:発注者が直接コスト管理することで多重下請け構造の弊害を軽減
  • 地域経済の健全化:地元中小企業が大企業との不当競争から保護され、持続的な受注が可能に

最低制限価格制度の対象となる契約

最低制限価格制度は主に地方自治体が発注する公共工事の請負契約を対象としており、建設工事や測量、清掃委託などが該当します。適用される工事の予定価格帯は自治体によって異なりますが、一般的にはある程度の金額以上の工事に設定されることが多いです。

ただし、自治体ごとに制度の運用は大きく異なり、対象となる業務の種類や金額基準も様々です。例えば、建設関連の委託業務に比較的低い金額から適用する自治体がある一方で、特定の条件を満たす場合に限定的に適用する自治体も存在します。

工事請負契約は一般的に対象となりますが、具体的な下限金額は自治体によります。製造請負契約や業務委託契約も対象となる場合がありますが、その範囲は自治体によって異なります。物品購入契約やITシステム開発契約は、原則として最低制限価格制度の対象外です。

最低制限価格の設定の基準

最低制限価格の設定基準は、直接工事費や管理費などの項目を積み上げて算定する方法が一般的です。具体的には、国土交通省のモデル式を参考に「直接工事費×0.95+共通仮設費×0.9+現場管理費×0.8+一般管理費×0.55」のような計算式が用いられ、予定価格の70~90%の範囲で設定されます。

自治体によって運用が異なり、神奈川県では一般業務委託に83%、印刷物請負に70%の掛率を適用しています。大阪市では無作為係数を乗じる独自方式を採用し、機械的に9,950/10,000~10,100/10,000の範囲で調整する特徴的な基準を設けています。

価格の公表方法は発注機関により異なり、事前公開する自治体と入札後開示するケースがあります。透明性確保のため、横浜市や北区のように算定式をホームページで明示する取り組みも進んでいます。

最低制限価格制度の具体例

最低制限価格制度の具体的な運用例を見ると、制度の効果をより明確に理解できます。

道路工事における適用事例

  • A県の道路舗装工事(予定価格1億円)では、直接工事費×0.97+共通仮設費×0.9+現場管理費×0.9+一般管理費×0.68の算式で8,500万円を最低制限価格に設定。その結果、8,300万円で入札した業者は自動失格となり、適正価格帯での競争が実現した
  • B市のごみ収集業務委託(予定価格5,000万円)では、過去の不適切履行を受け、最低制限価格を予定価格の85%に設定。これにより適正な人件費と設備投資が確保され、サービス品質が向上した
  • C町の橋梁補修工事(予定価格2億円)では制度導入後、極端な低価格入札が30%減少。地元中小業者の受注率が15%向上し、地域経済への好影響が確認された

これらの事例から、適正価格の維持が工事品質の向上と地域産業の健全な発展に寄与していることが分かります。

最低制限価格制度と低入札価格調査制度の違いを徹底比較

一発失格か調査後判断か?根本的な制度設計の違い

最低制限価格制度と低入札価格調査制度の根本的な違いは、価格下限を下回った際の対応プロセスにあります。最低制限価格制度では、あらかじめ設定された価格を下回る入札があった場合、即座に失格となる「一発失格」の仕組みです。一方、低入札価格調査制度では、調査基準価格を下回っても直ちに失格とはならず、工事履行の可能性を調査した上で判断されます。

制度設計の思想にも違いが見られます。最低制限価格制度は行政側の事務効率化を重視し、明確な数値基準で迅速な選定を可能にしています。一方、低入札価格調査制度は、特殊な施工技術や地域事情など個別事情を考慮できる柔軟性を特徴とし、技術提案の評価を重視する設計思想を持っています。

主な判断プロセスの比較

項目最低制限価格制度低入札調査制度
価格下限厳格な数値基準相対的な調査基準
価格下限を下回った場合即座に失格調査期間が必要(工事履行の可能性を調査した上で判断)
柔軟性低い高い

例えば、予定価格1,000万円の工事で800万円の入札があった場合、最低制限価格制度では即失格となりますが、低入札調査制度ではコスト削減手法の合理性を検証する機会が与えられます。

両制度の手続きフローと時間的影響

最低制限価格制度と低入札価格調査制度では、手続きフローが異なり、契約までの時間的影響も大きく異なります。最低制限価格制度では、入札価格が設定基準を下回った時点で即時失格となるため、通常の入札審査期間内で結論が出ます。

手続きステップ最低制限価格制度低入札調査制度
価格チェック即時判定基準価格比較
追加調査不要2~4週間程度の調査期間が必要(工事履行の可能性を調査した上で判断)
契約確定入札日当日調査終了後

低入札価格調査制度では、調査基準を下回った場合に積算根拠の提出やヒアリングが発生するため、平均的に2~4週間程度の追加期間が必要です。この時間的な差は、緊急性の高い工事では発注者の制度選択に影響を与える重要な要素となります。

事業者側では、低入札調査が適用される案件では調査期間を見込んだ工程管理が必須となり、特に複数案件を並行して受注している場合はスケジュール調整が重要になります。

工事規模・種類による適用パターンと発注者の選択基準

工事規模や種類によって、制度の適用パターンは発注者のリソースや工事特性に応じて異なります。大規模工事や技術的難易度が高い特殊工事では、低入札価格調査制度が選択される傾向が強く、例えば1億円以上の建設工事では詳細な価格調査が行われるのが一般的です。

一方、中小規模工事では、簡便に運用できる最低制限価格制度が多用されます。例えば、津島市では300万円以上1億円未満の工事に同制度を適用し、明確な価格下限を設定しています。

主な適用パターン

工事規模適用制度
大規模低入札調査制度(詳細調査実施)
中小規模最低制限価格制度(即時失格方式)

発注者の選択基準としては、行政リソースの有無が重要な要素になります。低入札調査制度は職員の調査負担が大きいため、人的リソースが限られる小規模自治体では最低制限価格制度が選ばれやすくなります。また、工期の緊急性が高い場合も、調査時間を要しない最低制限価格制度が優先されます。

入札者視点で考える各制度下での最適な価格戦略

入札者にとって、各制度下での価格戦略は明確に異なります。最低制限価格制度では、あらかじめ設定された価格下限を下回ると即失格となるため、正確なコスト計算が非常に重要です。直接工事費や共通仮設費の算出率を把握し、自社の原価管理データと照合しながら、できる限り低い価格設定を行う必要があります。

低入札価格調査制度では、調査基準価格を下回っても、その理由を説明する責任が発生します。資材調達方法や労務者配置計画を具体的に示す資料の準備が必須で、財務状況や過去の実績データも提示可能な状態に整えておきましょう。

価格戦略のポイント

  • 最低制限価格制度:自治体ごとの計算式を分析し、模擬入札で精度を向上させる
  • 低入札調査制度:技術提案書と価格内訳書の整合性を徹底的に検証する
  • 共通対策:競合分析ツールで過去3年間の落札価格の傾向を把握する

発注機関の特性に応じたアプローチも重要です。公共工事の実績が少ない自治体では説明資料を丁寧に作成し、大都市圏では競合他社の価格動向を意識した戦略的な入札が効果的です。

まとめ

最低制限価格制度と低入札価格調査制度は、公共工事の品質確保と適正な競争環境を維持するための重要な仕組みです。両制度には明確な違いがあり、それぞれの目的や運用方法を理解することで、入札参加者はより効果的な対策を講じることができます。適正な価格での受注を目指すためにも、これらの制度の特徴と実務上のポイントをしっかりと押さえておきましょう。

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執筆者

Gpath(ジーパス)は官公庁・地方自治体に特化した営業・マーケティング支援を行っている会社です。入札や補助金、自治体営業に関する知見を活かした専門性の高いコンテンツ制作を行っています。

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