公共入札に関わる中で、「入札保証金」と「契約保証金」という言葉を目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。しかし、それぞれの違いや役割、どのタイミングで必要になるのかが分かりにくいと感じる方も少なくありません。
入札保証金と契約保証金は、いずれも発注者のリスクを防ぐために設けられている制度ですが、納付するタイミングや目的が異なります。また、案件によっては免除される場合や、保証保険などで代替できるケースもあります。
この記事では、入札保証金と契約保証金の違いをはじめ、金額の目安や免除条件、支払い方法、返還ルールまで、公共入札に参加する企業担当者の方にも分かりやすく解説します。
公共入札の基本的な仕組みや、入札から契約締結までの流れについては、以下の記事でも詳しく解説しています。

【まず理解】入札保証金と契約保証金の違い
入札保証金と契約保証金は、いずれも公共入札において発注者がリスクを回避するために設けられている保証制度です。
しかし、納付するタイミング・目的・対象者が異なるため、混同しないように理解しておく必要があります。
結論から言うと、
入札保証金:入札に参加する際に納付する保証金
契約保証金:落札後に契約を履行するために納付する保証金
という違いがあります。
つまり、入札保証金は「入札辞退の防止」、契約保証金は「契約履行の担保」を目的とした制度です。
まずは、両者の違いを整理してみましょう。
入札保証金とは
入札保証金とは、入札参加者が入札に参加する際に納付する保証金のことです。
公共入札では、落札したにもかかわらず契約を辞退する事業者が出てしまうと、発注者は再度入札を行う必要があり、事業の進行に大きな影響が生じます。
そのため、入札の段階で保証金を納付させることで、
- 落札後の契約辞退
- 不誠実な入札参加
- 入札手続きの混乱
などを防止する目的があります。
なお、落札できなかった場合や、落札後に正しく契約を締結した場合には、原則として入札保証金は返還されます。
入札保証金の金額や免除条件は案件ごとに異なり、入札公告や入札説明書に記載されています。入札公告の読み方については、こちらの記事で詳しく解説しています。

契約保証金とは
契約保証金とは、落札した事業者が契約締結時に納付する保証金です。
契約保証金は、契約締結後に事業者が契約内容を履行しなかった場合のリスクに備えるための制度であり、主に次のような事態を防止する目的があります。
- 工事や業務の途中放棄
- 契約不履行
- 契約条件の重大な違反
公共事業では契約金額が高額になることも多いため、発注者は契約履行を確実にするために保証金を求めるケースが一般的です。
契約保証金は、契約の履行が完了した後に返還されるのが通常です。
入札保証金と契約保証金の違いとは
入札保証金と契約保証金の違いを整理すると、次のようになります。
| 入札保証金 | 契約保証金 | |
|---|---|---|
| 納付タイミング | 入札時 | 契約締結時 |
| 納付者 | 入札参加者 | 落札者 |
| 主な目的 | 落札後の契約辞退防止 | 契約履行の担保 |
| 金額の目安 | 予定価格の3〜5% | 契約金額の約10% |
| 返還タイミング | 不落札時または契約締結後 | 契約履行完了後 |
このように、入札保証金は「入札段階の保証」、契約保証金は「契約履行の保証」という位置づけになります。
公共入札に参加する企業にとっては、どちらの保証金が求められるのか、また免除条件があるのかを事前に確認しておくことが重要です。
入札保証金・契約保証金が必要な理由
公共工事や業務委託などの公共調達では、税金を財源として事業が実施されるため、契約の公平性や確実な履行が求められます。そのため、多くの入札では「入札保証金」や「契約保証金」といった保証制度が設けられています。
入札保証金は落札後の契約辞退を防ぐため、契約保証金は契約どおりに業務や工事が履行されることを担保するための制度です。これらの保証金は、公共事業を適正に進めるためのリスク管理の仕組みとして運用されています。
契約締結の辞退を防ぐため
入札保証金は、落札後の契約辞退を防ぐ目的で設けられている制度です。落札した事業者が契約を辞退すると、入札手続きをやり直す必要があり、事業開始の遅れや行政コストの増加につながる可能性があります。
入札保証金を求めることで、安易な入札を防ぎ、責任ある入札参加を促す役割があります。
契約の履行を担保するため
契約保証金は、契約どおりに業務や工事が履行されることを担保する制度です。契約後に事業者が履行できなくなった場合、発注者は再発注などの対応が必要になります。
契約保証金は、そのようなリスクに備えるための担保として機能します。
公共事業のリスクを抑えるため
公共調達では税金が使われるため、適正な契約履行が求められます。保証金制度は、不誠実な入札や契約履行の放棄といったリスクを抑える仕組みです。
このように、入札保証金と契約保証金は、公平性や透明性を確保しながら公共事業を円滑に進めるための制度として運用されています。
入札保証金・契約保証金の金額
公共入札に参加する際、入札保証金や契約保証金がどの程度必要になるのかは、多くの事業者が気になるポイントです。
結論として、一般的な目安は次の通りです。
入札保証金:予定価格の3〜5%程度
契約保証金:契約金額の約10%
ただし、保証金の具体的な金額は、案件の種類や発注機関の規定によって異なる場合があります。
そのため、実際の入札では必ず入札公告や入札説明書に記載されている条件を確認することが重要です。
入札保証金の金額目安
入札保証金は、一般的に予定価格の3〜5%程度に設定されることが多いとされています。
この保証金は、落札後の契約辞退などを防止する目的で設定されており、発注機関によっては金額の割合が明確に定められているケースもあります。
また、案件によっては
- 一律金額
- 最低保証額の設定
など、独自のルールが設けられている場合もあります。
なお、入札保証金は入札に参加するための保証金であるため、落札できなかった場合は原則として返還されます。
契約保証金の金額目安
契約保証金は、契約を締結する際に納付する保証金であり、一般的には契約金額の10%程度が求められることが多いです。
この保証金は、契約履行を担保するための制度であり、工事や業務委託などの契約において広く採用されています。
契約保証金が求められる主な目的は、次のようなリスクに備えることです。
- 契約途中での事業放棄
- 契約条件の不履行
- 業務品質の著しい低下
契約内容が適切に履行された場合には、契約完了後に返還されるのが一般的です。
金額の計算例
入札保証金と契約保証金の具体的なイメージを理解するために、簡単な例を見てみましょう。
たとえば、予定価格が1,000万円の案件の場合、一般的な保証金の目安は次の通りです。
入札保証金:5%の場合
→ 約50万円
契約保証金:10%の場合
→ 約100万円
このように、契約保証金は入札保証金よりも高い割合で設定されるケースが多く、落札後には一定額の資金を確保しておく必要があります。
そのため、公共入札に継続的に参加する企業では、
- 保証保険
- 銀行保証
- 履行保証制度
などを活用して、保証金の負担を軽減するケースも少なくありません。
発注機関によって金額設定が異なる場合もある
入札保証金や契約保証金の金額は、法律の枠組みの中で発注機関ごとに運用されているため、自治体や案件によって条件が異なる場合があります。
たとえば、
- 入札保証金が免除される案件
- 契約保証金の割合が異なる案件
- 保証保険による代替が認められる案件
など、実務上の運用はさまざまです。
そのため、入札に参加する際は、必ず入札公告や入札説明書を確認し、保証金の条件を事前に把握しておくことが重要です。
入札保証金や契約保証金が免除になる条件
入札保証金や契約保証金は、すべての案件で必ず納付しなければならないわけではありません。
発注機関の判断や、一定の条件を満たす場合には保証金の納付が免除されるケースもあります。
特に、過去の契約実績や保証制度の利用などにより、企業の信用力が確認できる場合には、保証金の負担が軽減されることがあります。
ただし、免除条件は発注機関や案件ごとに異なるため、入札公告や入札説明書で具体的な条件を確認することが重要です。
入札保証金の免除条件
入札保証金は、一定の条件を満たす場合に免除されることがあります。
具体的な条件は発注機関によって異なりますが、一般的には次のようなケースが挙げられます。
・保険会社と入札保証保険の契約を結んでいる場合
予算決算及び会計令第77条に基づき、契約書を提出することで、現金を納付する必要がなくなる
・金融機関や保証事業会社と保証契約を結んでいる場合
銀行の保証書や保証証券を提出することで、現金の代わりに担保として扱われる
・過去に契約を履行した実績がある場合
過去に国や地方公共団体との間で、同種・同規模の契約を誠実に履行した実績がある場合、免除されることがある(具体的な期間や実績の条件は発注機関によって異なる)
このような場合、発注機関が入札保証金の納付を不要と判断することがあります。
また、近年では電子入札の普及に伴い、入札保証金を求めない案件も増えている傾向があります。
契約保証金の免除条件
契約保証金についても、一定の条件を満たす場合には免除されることがあります。
代表的な例としては、次のようなケースです。
・履行保証保険に加入している場合
保険会社と履行保証保険契約を締結し、保証証書を提出することで、現金による契約保証金の納付が免除となることがある
・金融機関や保証事業会社と保証契約を結んでいる場合
銀行保証や保証会社の保証証書を提出することで、契約保証金の代替として認められる場合がある
・契約金額が少額の場合
契約金額が小規模な契約については、発注機関の判断により契約保証金の納付が免除される場合がある(具体的な基準や金額は発注機関によって異なる)
・過去に契約を履行した実績がある場合
過去に国や地方公共団体との間で、同種・同規模の契約を誠実に履行した実績がある場合、免除されることがある(具体的な期間や実績の条件は発注機関によって異なる)
特に、公共工事や業務委託では、契約保証金の代わりに履行保証保険などを利用するケースも多く見られます。
これにより、企業は多額の保証金を現金で納付する必要がなくなり、資金負担を軽減することができます。
入札保証金・契約保証金の支払い方法と納付期限
入札保証金や契約保証金は、発注機関が定める方法で納付する必要があります。
多くの公共入札では、現金だけでなく、保険や保証制度などを利用して保証金を提供することも認められています。
代表的な納付方法としては、次のようなものがあります。
- 現金による納付
- 有価証券による納付
- 保証保険や銀行保証などの保証制度
具体的な納付方法は案件や発注機関によって異なりますが、一般的には次のような方法が採用されています。
現金による納付
最も基本的な方法が、現金による納付です。
入札保証金の場合は入札前に、契約保証金の場合は契約締結時に、発注機関が指定する口座へ保証金を振り込みます。
自治体によっては、窓口で直接納付する方式を採用している場合もあります。
振込によって納付する場合には、振込証明書や振込明細の提出を求められることがあるため、証明書類は必ず保管しておく必要があります。
有価証券による納付
保証金は、現金の代わりに有価証券で納付できる場合もあります。
対象となる有価証券としては、主に次のようなものがあります。
- 国債
- 地方債
- 政府保証債
- 指定金融機関の保証証書
これらの証券は一定の価値を持つ資産として扱われ、保証金の代替手段として認められる場合があります。
ただし、利用できる証券の種類や評価額の計算方法は発注機関ごとに異なるため、事前に入札説明書などで確認しておくことが重要です。
保証保険や銀行保証による方法
入札保証金や契約保証金は、保証保険や銀行保証を利用して代替する方法もあります。
たとえば、次のような制度が利用されることがあります。
- 入札保証保険(入札ボンド)
- 履行保証保険
- 銀行保証
これらの制度では、保険会社や金融機関が保証人となり、事業者が契約を履行できなかった場合に保証金相当額を支払う仕組みになっています。
この方法を利用することで、企業は多額の資金を一時的に拘束されることなく入札に参加することができるため、実務上よく活用されています。
入札ボンド制度とは?
入札ボンド制度とは、入札保証金の代わりに保証保険を利用する制度のことです。
保険会社などが保証人となり、入札参加者が落札後に契約を締結しなかった場合などに、保証金相当額を発注者へ支払う仕組みになっています。
通常、入札保証金は現金などで納付する必要がありますが、入札ボンド制度を利用することで、企業は多額の資金を一時的に拘束されることなく入札に参加することができます。
特に公共工事や大規模な業務委託では、資金負担を軽減するために入札ボンド制度が活用されるケースもあります。ただし、制度の利用可否や具体的な条件は発注機関や案件によって異なるため、入札公告や入札説明書で確認することが重要です。
電子入札での保証金手続き
近年では、国や自治体の多くの入札が電子入札システムで実施されています。
電子入札の場合でも、入札保証金の納付方法は基本的に同じですが、
- 振込証明書の電子提出
- 保証証書の電子登録
など、提出方法が電子化されていることがあります。
そのため、電子入札に参加する際は、入札システムの操作方法や提出書類の形式についても確認しておくと安心です。
入札保証金・契約保証金の納付期限
| 項目 | 入札保証金 | 契約保証金 |
|---|---|---|
| 納付期限 | 入札書提出期限まで | 契約締結前(通知後7日以内) |
| 延長可否 | 原則不可 | 事前協議で可能な場合あり |
入札保証金と契約保証金では、納付期限が異なります。入札保証金は、原則として入札書を提出する期限までに納付する必要があります。具体的には、入札が開始される時間までに、現金または有価証券で納めなければなりません。この期限を過ぎてしまうと、入札が無効となってしまうため注意が必要です。
契約保証金の納付期限は、落札が決定したという通知を受けてから7日以内(休日を含む)とされています。契約を結ぶ前に必ず納付する必要があり、期限を守らない場合は契約の権利を失う可能性があります。
特別な事情で期限を延長する必要がある場合は、事前に発注機関と相談する必要があります。延長を希望する場合は、書面で申請し、正当な理由を提示しなければなりません。また、延長が認められた場合でも、追加で書類を提出する必要がある場合もあるため、早めに相談するようにしましょう。
入札保証金・契約保証金の返還ルール
入札保証金や契約保証金は、一定の条件を満たした場合に原則として返還される保証金です。
ただし、入札の結果や契約の履行状況によっては返還されない場合もあります。
入札保証金と契約保証金では返還されるタイミングが異なるため、それぞれのルールを理解しておくことが重要です。
入札保証金の返還
入札保証金は、入札手続きの公正性を担保するために預ける保証金であり、通常は次のような場合に返還されます。
・入札に参加したが落札できなかった場合
・落札後に契約を締結した場合
多くのケースでは、入札結果が確定した後に返還手続きが行われ、指定口座へ振り込まれる形で返金されます。
ただし、落札したにもかかわらず契約を締結しなかった場合などには、保証金が返還されないことがあります。
契約保証金の返還
契約保証金は、契約の履行を担保するために納付される保証金であり、契約内容が適切に履行された場合に返還されます。
一般的には、次のようなタイミングで返還されます。
・工事完了後の検査完了時
・業務委託契約の履行確認後
・契約期間終了後
一方で、契約内容が履行されなかった場合や、重大な契約違反があった場合には、契約保証金が返還されないこともあります。
このような制度は、発注者が契約履行のリスクを回避するための仕組みとして設けられています。
入札保証金振込証明書とは
入札保証金振込証明書とは、入札保証金を指定口座に振り込んだことを証明する書類のことです。
入札保証金を現金で納付する場合、多くの発注機関では「保証金を振り込んだことを確認できる書類」の提出を求めています。
その際に使用されるのが、入札保証金振込証明書です。
この証明書を提出することで、発注機関は入札参加者が必要な保証金を納付していることを確認できます。
入札保証金振込証明書が必要なケース
入札保証金振込証明書は、主に次のようなケースで提出が求められます。
- 入札保証金を銀行振込で納付する場合
- 入札書類とあわせて保証金の納付を証明する必要がある場合
- 電子入札で保証金の納付確認が必要な場合
発注機関によっては、振込証明書の提出方法や形式が指定されている場合もあります。
そのため、入札に参加する際は、入札公告や入札説明書で必要書類を確認しておくことが重要です。
振込証明書の発行方法
振込証明書は、入札保証金を銀行振込で納付した際に取得することができます。
一般的には、次のような書類が証明書として扱われます。
- 銀行の振込受付票
- インターネットバンキングの振込明細
- 金融機関が発行する振込証明書
発注機関によっては、これらの書類をコピーして提出するよう求められることもあります。
提出方法
入札保証金振込証明書の提出方法は、入札の方式によって異なります。
紙入札の場合
入札書類に証明書を添付して提出
電子入札の場合
振込証明書をPDFなどの電子データとして提出
このように、提出方法は入札方式によって異なるため、事前に提出手順を確認しておくことが重要です。
まとめ
入札保証金と契約保証金は、いずれも公共入札や公共契約において発注者のリスクを軽減するために設けられている制度です。入札保証金は入札参加時に納付し、落札後の契約辞退などを防ぐ目的があります。一方、契約保証金は契約締結時に納付し、契約内容が適切に履行されることを担保する役割を持っています。
保証金の金額や納付方法、免除条件は案件や発注機関によって異なりますが、一定の条件を満たした場合には返還されるのが一般的です。公共入札に参加する際には、保証金の仕組みや条件を事前に確認し、入札公告や入札説明書をよく確認して対応することが重要です。
公共入札に参加するためには、事前に「入札参加資格」の取得が必要です。取得方法や申請の流れについては、以下の記事で詳しく解説しています。


