自治体の「総合計画」とは?基本構想・基本計画・実施計画の3層構造と政策の読み方・営業活動への活用方法を解説

自治体の総合計画とは

自治体の総合計画について、「どのように読み取れば自治体の重点施策が分かるのか」「営業活動にどのように活用できるのか」とお悩みではありませんか?

総合計画は、自治体が将来のまちづくりの方向性や重点施策を示す最上位の行政計画です。自治体営業を行う企業にとっては、自治体の政策の優先順位や今後の事業の方向性を読み解く重要な資料でもあります。

本記事では、自治体の総合計画の基本的な役割や構造を解説するとともに、自治体営業にどのように活用できるのかを具体的に解説します。

目次

自治体の総合計画とは

自治体の総合計画とは、自治体が目指す将来像や政策の方向性を示す、行政運営の基本となる計画です。自治体のさまざまな施策や事業は、この総合計画の方針をもとに検討・実施されることが一般的です。

総合計画は、自治体が将来どのような地域づくりを目指すのかを示すものであり、行政内部だけでなく、住民や地域企業に対して自治体のビジョンを共有する役割も担っています。

また、自治体営業を行う企業にとっても、総合計画は重要な情報源です。自治体が重点的に取り組む政策分野や、今後力を入れていくテーマを把握することで、営業活動や提案内容の方向性を検討する際の参考になります。

総合計画の目的

総合計画は、自治体の政策の方向性を示し、計画的に行政運営を進めるために策定されます。主な目的は次の通りです。

  • 自治体が目指す将来像やまちづくりの方向性を示す
  • 各分野の政策や施策の優先順位を整理する
  • 行政内部の政策方針を統一する
  • 住民や企業と自治体のビジョンを共有する

このように、総合計画は自治体の政策全体を体系的に整理する役割を持っています。

総合計画の法的位置づけ

総合計画は、自治体運営の方向性を示す最上位の行政計画として位置づけられることが一般的です。自治体が策定するさまざまな分野の計画や施策は、総合計画の方針を踏まえて検討されることが多く、自治体の政策全体の指針となります。

かつては地方自治法において、総合計画の策定が自治体に義務づけられていましたが、法改正により現在では義務ではなくなっています。しかし、多くの自治体では行政運営の基本方針を示す計画として、引き続き総合計画を策定しています。

総合計画と個別計画の関係

総合計画:自治体の政策全体の方向性を示す上位計画
例:持続可能なまちづくり構想
個別計画:各分野の施策を具体化する計画
例:環境基本計画、都市マスタープラン など

自治体では、総合計画のほかにも、分野ごとの個別計画が策定されています。代表的なものには次のような計画があります。

  • 福祉計画
  • 環境計画
  • 観光振興計画
  • 都市計画
  • 産業振興計画

これらの個別計画は、それぞれの分野の施策を具体化したものですが、多くの場合、総合計画の方針をもとに策定されます。

つまり、総合計画は自治体の政策全体の方向性を示す「上位計画」であり、各分野の個別計画はその方針を具体的な施策として落とし込んだものといえます。このような関係を理解することで、自治体の政策体系をより正確に把握することができます。

参照)自治体の中長期構想づくりの基本的視座―総合計画の戦略性・実効性を高めるには―高崎経済大学地域政策学部・大学院地域政策研究科教授 佐藤 徹

近年では、SDGsや地方創生の取り組みが進む中で、総合計画と個別計画の整合性がより重要視されています。たとえば、総合計画で掲げる「誰もが住み続けたいまち」という理念が、個別計画の「子育て支援施設整備」や「防災公園整備」などの具体的な施策として展開される形です。

このように、自治体運営では総合計画を上位計画とし、個別計画をその具体化として位置づけることで、政策の一貫性を確保しています。個別計画の策定時には、総合計画の基本理念や政策方針と整合しているかを確認しながら進められるのが一般的です。

総合計画の3層構造:基本構想・基本計画・実施計画

自治体の総合計画は、多くの場合、基本構想・基本計画・実施計画の3つで構成されています
この3つの計画はそれぞれ役割が異なり、上位の計画ほど長期的な方針を示し、下位の計画ほど具体的な事業内容を示すという関係になっています。

区分役割主な内容計画期間
①基本構想自治体の将来像を示す最上位計画まちづくりの理念、将来ビジョン、政策の方向性約10年
②基本計画将来像を実現するための政策方針重点施策、政策分野、数値目標など約5年
③実施計画具体的な事業を実行する計画事業内容、担当部署、予算、スケジュール3〜5年

それぞれの特徴を理解することで、自治体がどのような政策を重視しているのか、また今後どのような施策が実施される可能性があるのかを読み取ることができます。

①基本構想:10年程度の長期ビジョンと基本目標

基本構想は、自治体のまちづくりの将来像や基本理念を示す計画であり、総合計画の最上位に位置づけられます。多くの場合、10年程度の長期的な期間を見据えて策定されます。

基本構想では、自治体が目指す地域の姿や、まちづくりの基本的な方向性が示されます。例えば、次のような内容が盛り込まれることが一般的です。

  • 将来のまちの姿(将来ビジョン)
  • まちづくりの基本理念
  • 政策の大きな方向性

人口減少や高齢化などの社会構造の変化を踏まえ、持続可能な地域のあり方を示す役割を持つ点が特徴です。また、策定プロセスでは住民アンケートやワークショップなどが行われることも多く、市民と行政が共通の将来像を共有するための指針として機能します。

②基本計画:重点施策と数値目標を設定

基本計画は、基本構想で示された将来像を実現するための政策分野や施策の方向性を示す計画です。計画期間は5年程度で設定されることが多く、自治体が重点的に取り組む政策分野が整理されています。

基本計画では、次のような内容が体系的に整理されます。

  • 分野ごとの政策目標
  • 重点施策
  • 政策の方向性

たとえば、子育て支援や防災対策、地域活性化、産業振興などの政策分野ごとに、自治体がどのような施策を進めていくのかが示されます。

基本計画を確認することで、自治体が今後どの分野に重点投資するのかを把握できるため、自治体営業を行う企業にとっても重要な資料となります。

③実施計画:具体的な事業と予算配分

実施計画は、基本計画で示された施策を具体的な事業として実行するための計画です。多くの自治体では3〜5年程度の短期スパンで策定され、予算編成とも密接に関連しています。

実施計画では、次のような情報が整理されています。

  • 具体的な事業内容
  • 事業の実施年度
  • 予算規模
  • 担当部署

基本計画の施策を年度ごとの事業として具体化することで、自治体は事業の優先順位を決定し、限られた財源を効率的に配分します。

また、実施計画は年度ごとの進捗管理にも活用されます。事業の成果を評価しながら必要に応じて計画を見直すことで、社会情勢の変化にも柔軟に対応できる仕組みになっています。

自治体営業の観点では、実施計画を確認することで今後予定されている具体的な事業や予算の方向性を把握することができます。

総合計画を自治体営業に活用する方法

自治体の総合計画は、営業活動において非常に価値のある情報源です。

総合計画には、自治体が描く10年以上先のまちづくりビジョンや重点施策が整理されており、自治体がどの分野に力を入れているのかを把握できます。

また、基本計画や実施計画を確認することで、政策の優先順位や具体的な事業内容、予算配分の方向性まで読み取ることが可能です。

これらの情報を分析することで、自治体のニーズに合致した提案を行いやすくなり、長期的な営業戦略の立案にもつながります

①自治体の長期ビジョンから地域ニーズを把握する

総合計画の基本構想には、自治体が目指す地域の将来像や長期的なまちづくりの方向性が示されています。

これらのビジョンは、人口推計や財政見通しなどの客観的データをもとに策定されており、地域課題を解決するための戦略的な方針が整理されています。

営業担当者は、この長期ビジョンと自社のサービスや技術を照らし合わせることで、中長期的なビジネス機会を見つけることができます

たとえば、総合計画からは次のような情報を読み取ることができます。

  • 人口減少や高齢化など人口構造の変化
  • 地域産業の振興方針
  • 子育て支援や福祉政策の方向性
  • 防災・インフラ整備の計画

これらの情報を分析することで、地域の潜在的なニーズを把握し、自治体の政策方針に沿った提案を検討しやすくなります。

②政策の優先順位を読み取り提案の方向性を決める

総合計画の基本計画では、自治体が重点的に取り組む政策分野や施策の方向性が示されています。

この基本計画を確認することで、自治体がどの分野に優先的に予算や人材を投入していくのかを把握できます。

たとえば、

  • 再生可能エネルギーの導入
  • 中小企業支援
  • 観光振興
  • 行政DXの推進

などが重点施策として掲げられている場合、それに関連するサービスやソリューションを提案することで、自治体のニーズに合った営業活動が可能になります

また、議会議事録を併せて確認することで、政策の進捗状況や課題をより具体的に把握できます

議会議事録のチェックポイント
・基本計画の進捗と課題
・予算執行の実績と課題
・政策変更の兆候

これらを分析することで、自治体の政策の方向性や課題をより深く理解し、競合他社に先んじた提案を行うことができます。

③実施計画から事業スケジュールと提案タイミングを把握する

実施計画は、総合計画で掲げた政策を具体的な事業として実行するための計画です。

多くの自治体では、3〜5年程度の期間で事業計画が策定され、年度ごとの事業内容や予算が整理されています。

実施計画を確認することで、営業担当者は自治体の具体的なアクションプランを把握できます

特に注目すべきポイントは次のとおりです。

  • 各施策の事業内容
  • 年度ごとの実施スケジュール
  • 予算規模
  • 数値目標

たとえば、防災設備の整備計画が年度別に示されている場合、設備導入のタイミングに合わせて提案を行うことが可能になります。

営業活動で活用する際は、次のような視点で実施計画を分析すると効果的です。

営業活用のポイント具体的な対応策
数値目標の分析達成度指標から自治体の課題を読み取る
スケジュール管理事業開始前のタイミングで提案を行う

このように、総合計画と実施計画を体系的に分析することで、自治体の政策目標に沿った営業活動を行うことが可能になります

自治体の総合計画を確認する方法

自治体の総合計画は、各自治体の公式サイトで公開されていることが一般的です。

多くの場合、自治体のホームページ内の「計画・政策」や「市政情報」といったページに掲載されており、PDF形式で閲覧できます。

営業活動で活用する場合は、総合計画だけでなく関連する資料も併せて確認すると、自治体の政策方針や事業計画をより深く理解できます

ここでは、総合計画を確認する主な方法を紹介します。

自治体の公式ホームページを確認する

総合計画を確認する最も基本的な方法は、自治体の公式ホームページを閲覧することです。

多くの自治体では、次のようなページに総合計画が掲載されています。

  • 市政情報
  • まちづくり計画
  • 各種計画
  • 政策・施策

たとえば「○○市 総合計画」と検索すると、自治体の公式ページが見つかることが多く、基本構想・基本計画・実施計画などの資料を確認できます。

例:新宿区-基本構想・総合計画・実行計画
大阪市-総合的な計画、指針・施策

自治体の個別計画も併せて確認する

総合計画だけでなく、分野別の個別計画を確認することで、より具体的な政策内容を把握できます

代表的な個別計画には、次のようなものがあります。

  • 都市マスタープラン
  • 環境基本計画
  • 観光振興計画
  • 子育て支援計画
  • 地域福祉計画

これらの計画は、総合計画で示された方針を分野ごとに具体化したものです。営業活動では、対象分野の個別計画を確認することで、自治体の施策内容や重点事業をより詳細に把握できます。

議会議事録や予算資料も確認する

自治体の政策の進捗状況や課題を把握するには、議会議事録や予算資料も参考になります

議会議事録では、自治体職員や議員による議論の内容が公開されており、次のような情報を読み取ることができます。

  • 政策の進捗状況
  • 事業の課題
  • 新しい施策の検討状況

また、自治体の予算書や予算説明資料を確認することで、どの分野に予算が重点的に配分されているのかを把握できます。

総合計画、個別計画、議会議事録、予算資料などを組み合わせて分析することで、自治体の政策の方向性をより立体的に理解できるようになります。

まとめ

本記事では、自治体の総合計画の目的や役割について解説しました。総合計画は自治体の将来ビジョンを示す最上位計画であり、基本構想・基本計画・実施計画という3層構造によって、長期的な方針から具体的な事業までが体系的に整理されています。

また、総合計画を読み解くことで、自治体が重点的に取り組む政策分野や地域課題を把握でき、営業活動においても有効に活用することができます。個別計画や議会議事録、予算資料などと併せて確認することで、自治体の政策の方向性をより深く理解することができるでしょう。

まずは、営業先として検討している自治体の総合計画を確認し、重点政策や具体的な事業内容を整理してみてください。自治体の方針に沿った提案を行うことで、より効果的な自治体営業につながるはずです。

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執筆者

Gpath(ジーパス)は官公庁・地方自治体に特化した営業・マーケティング支援を行っている会社です。入札や補助金、自治体営業に関する知見を活かした専門性の高いコンテンツ制作を行っています。

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